鶏肉 マリネ。 【みんなが作ってる】 マリネ液 鶏肉のレシピ 【クックパッド】 簡単おいしいみんなのレシピが333万品

【みんなが作ってる】 マリネ液 鶏肉のレシピ 【クックパッド】 簡単おいしいみんなのレシピが333万品

鶏肉 マリネ

マリネとは、低pHの液に漬けること ルネッサンス時代から西洋では、マリネは主に菌の繁殖を防いで保存したり、腐敗臭を抑えて食べやすくする下処理であった。 しかし最近では、硬い肉を軟らかくしたり、風味付けしたりするなど、おいしくするための方法として用いられているようだ。 そこで、まずは「マリネとはなんぞや?」という定義をしてみたい。 <新ラルース料理大事典>の「マリネする」の項には、香味を付けた液体に材料を一定の時間浸し、軟らかくして香りを付けることとある。 フランス料理の世界では、この液体をマリナードと呼び、加熱するとマリナード・キュイ、そのまま用いるとマリナード・クリュ。 これにはワインか酢が欠かせないようで、その観点からマリネとは「低pHの液体に一定の時間、素材を漬けること」という定義が見えてくる。 0~14まであり、7が中性で、7より小さければ酸性、大きければアルカリ性となる。 よって、低pHはpH7未満の酸性の状態を指す。 では、低pHの状態に素材を置くことによって、どのような効果が得られるのか。 まず一つめの効果として、農学博士である川崎寛也先生は肉の軟化を挙げる。 「低pHの状態に置かれることで、筋繊維の間に隙間が生じて、水分が入り込む余地ができます。 すなわち、保水性が高まるのです。 またタンパク質分解酵素の働きもより活発になります。 肉の筋繊維内にあるタンパク質がアミノ酸に分解される過程で、筋繊維間の結束が弱まって、軟化が進むのです」。 さらには筋繊維を取り囲む結合組織を構成するコラーゲンは、酸性化することでゼラチン化が促進される。 加熱すると溶けて軟らかくなる性質を持つようになるそうだ。 二つめの効果は、食材に風味が付くこと。 マリナードには赤ワインやハーブ、香味野菜を多用するが、香気成分には水溶性と脂溶性のものがある。 そのうち、水溶性のものは低pHでできた筋線維内の隙間に水分と共に入り込み、脂溶性のものはタンパク質本体に吸着したと考えられると、川崎先生はそのメカニズムを説明する。 では、マリナードの違いにおけるマリネの効果を比較実験してみよう(実験1)。 同じ重量の牛肉を、赤ワイン、煮切った赤ワイン、赤ワインビネガーに30分間漬け込む。 それらとマリネしていない肉、計4種を比較した。 今回実験に参加いただくのは、『ヴレ・ド・ヴレ シェ・ヒロ』の大垣裕康さんと『鮨ろく』の堀内紀久さん。 開始から興味津々の様子だ。 大垣さん「おっ、色の差は出てます。 ビネガーは…変色してる」。 川崎「重さを量ってみましょう。 ビネガーは約2%増加し、赤ワインは約1%減少してますね。 最もpHの低いビネガーが吸水して重くなっている、つまり肉のタンパク質に隙間ができて、保水性が増したのでしょう。 また、濃度計によると赤ワインが最も高濃度。 肉の重量が減っているのは浸透圧によるものと考えられます。 赤ワインの浸透圧が高いので、肉から脱水が起こったのです」。 ここで肉を焼いて味見してみる。 大垣さん「煮切り赤ワインのマリネは馴染みある味。 ビネガーは味がぼやけています。 でも正直、マリネしない方が肉の素材感が生きている気がします(笑)」。 堀内さん「煮切った方が赤ワインの果実味がします! 肉の軟らかさは、微妙な差ですねぇ…」。 大垣さん「アルコールの香りが強いと、肉やワインの風味を感じにくいので、フレンチでは煮切ることが多いんですよ」。 短時間のマリネでも、肉に味は移っていたが、肉質の変化はあまり感じられなかった。 「30分間だとマリネの影響があるのが肉の表面1~2㎜程度だからでしょう」と川崎先生は考察する。 ではマリネする時間を長くすれば、どうか。 大垣さんの得意料理・牛ホホ肉の赤ワイン煮込みで試してみる(実験2)。 一方は、赤ワインや香味野菜を用いたマリナードで5日間マリネ。 もう一方は下処理なし。 それぞれを赤ワインベースのソースで3時間煮込み、1日寝かせてから試食した。 堀内さん「全然違います! マリネした方は、ホロホロッとほぐれやすくなっていますね」。 川崎「マリネすることによってコラーゲンのゼラチン化が促進されていますね。 肉の繊維が1本1本ほぐれているんですよ」。 大垣さん「僕はマリネなしの方が肉が魅力的に感じられます」。 川崎先生「マリネすることによって、素材感が損なわれてしまう、というのはあるでしょうね」。 大垣さん「この肉は大山からフレッシュの状態で取り寄せてます。 肉質や旨みに満足しているから、僕はマリネは必要ないと思ってる。 お店では、そのまま煮込んで提供しています。 でも少し硬い肉なら、マリネも有効ですね」。 実験からマリネで肉質の軟化、効果的な風味付けが可能だと確認できた。 しかし素材の特性を鑑みながら、マリネするかどうかを見極められれば、調理の可能性が広がるともいえそうだ。 【実験2】マリネの有無による煮込みの肉質の相違 5日間マリネした肉は赤紫色に変化。 漬け込んだ後のマリナードはやや濁っており、タンパク質が溶け出たと考えられる。 煮込んだ後の肉の断面を見ると、マリネした方(右)が中まで赤っぽく、筋繊維がほぐれているのが分かる。 【実験1】マリナードの違いによる肉質の変化 肉は黒毛和牛のサシの少ないクリミ(腕肉)を使用。 写真は各マリナードに30分漬けた状態。 色の違いは一目瞭然。 『ヴレ・ド・ヴレ シェ・ヒロ』 大垣裕康さん フランスや大阪の老舗フレンチでの修業を生かし、素材感のある大胆な料理を提供。 「フランス修業時代、鶏を捌いている時に余った部位は、そばにある赤ワインにどんどん放り込んでましたね。 1日2日経って、それがある程度たまったら煮込む。 今思えば、スゴイ大胆なマリネです」。 堀内紀久さん 中華料理で3年経験を積んだ後、寿司の世界へ。 大阪市内の数軒での修業を経て、07年に独立。 寿司の仕事は奥深い、と痛感する毎日だそう。 「食感をより良くし、持ち味の輪郭を際立たせる。 例えば、青背の魚に施す酢〆はマリネに近い仕事ですね。 ヅケはマグロの他、金目鯛でもしますよ」。 肉と魚ではマリネの効果は逆? マリネを低pHの液体に漬け込むことと定義すると、寿司の世界では酢〆がある。 低pHの酢には、菌の繁殖を鎮静化させる効果もあるため、特に足の早い青背の魚の下処理に用いる手法だ。 必ず塩で〆てから酢に浸すが、「その方が身が締まるんですよ」とは堀内さん。 実は、マリネに求める肉質の変化は魚と肉では真逆である。 もともと軟らかい魚の身は、締めるためにマリネするのだ。 ここで、塩〆の有無で身の締まり方にどの程度の差が出るのかを実験してみる(補足実験)。 川崎「酢〆のみの方が、表面が白い。 魚の筋タンパク質が変性していますね」。 大垣さん「うわっ、塩をしていない方は身がどろっと溶けています! 酸っぱさは感じないけど…味がぼけていますね」。 堀内さん「別の魚みたい! 鮮度も塩をした方がいいように思いますし、旨みも濃いですね」。 酢〆の前に塩を纏わせる効果として、筋タンパク質が溶けにくくなることが挙げられる。 低pHではタンパク質分解酵素の働きが活発になるが、できたアミノ酸は溶けず、脱水で身も締まるという効果もある。 身の水分が減りアミノ酸の濃度が増すので、旨みをより感じられるのでは、と川崎先生は複合的に分析して話す。 【補足実験】塩〆と酢〆 明らかに左は白っぽい。 右は塩をしてからイワシは4分半、アジは6分間置き、氷水で洗った後、酢で〆た。 〆た時間はイワシは40秒、アジは2分間。 塩を使わず、酢〆のみのものも同じ時間〆た。 「時間は身の薄さや脂ノリで判断している」と堀内さん。 マグロのヅケに赤ワインの風味!? ヅケだ。 マグロならその目的は、醤油の風味を付ける、ねっとりとした食感を生む、などが挙げられる。 ここで寿司の仕事の固定概念を取り払い、マリネの発想をヅケに用いてみる。 通常の漬け汁は、みりん、酒、濃口醤油を煮切り、マグロ節を加えて漉したもの。 これに赤ワインを用いてみる。 一つは、酒を赤ワインに変えて1/2量に煮詰めたもの。 もう一つは、酒を赤ワインに変え、煮切らず使った。 この3種の漬け汁に、1カン大の切り身にしたマグロを4時間漬け込む。 大垣さん「やはり通常のヅケが旨いです! マグロ節の香りがしっかりします。 煮詰めたのは、身が締まって味が濃い。 ワインの風味が強いのは、煮切らず使ったもの。 コレ、なかなかいけますよ」。 堀内さん「ややアルコールの匂いが気になりますけど、赤ワインの風味がマグロに合いますね」。 川崎「マグロの筋肉に含まれる鉄の成分と、赤ワインの鉄を彷彿とさせる香りが調和するのでしょう。 今回、1/2に煮詰めた漬け汁のものが、より身が締まっていました。 調味料の配合を調整し漬け汁の濃度を変えれば、ヅケの時間短縮の可能性もあります」。 これらのマグロで、堀内さんに寿司を握っていただいた。 「今すぐ新しい握り寿司が生まれるわけではないですが、薬味などでの風味付けや時間短縮の可能性など、マリネを知ることで、ヅケの気づかなかった側面を発見できました」。 【実習】マグロのヅケを赤ワインでアレンジ 通常のヅケの漬け汁は、みりん400ml、酒200ml、濃口醤油500mlを煮切った後、マグロ節をひとつかみ半入れて漉したもの。 マグロ節の風味が際立っている。 色は右が一番赤黒く、味も濃厚。 左は色鮮やかで、赤ワインが赤身に独特の風味を与えていた。 マリネの新表現自由な風味付け 最後に新たなバリエーションとして、豚バラ肉とロースに異なるマリナードを用い、肉質の違いを際立たせた一皿を大垣さんに作っていただいた。 流通の高速化や素材自体が良くなったことで、今やマリネの効果で主となるのは、保存より風味付けと大垣さんは話す。 「マリナードを作る時、ソースや付合せを考える感じで素材を選びます。 バラ肉は脂をさっぱり味わうために甘酸っぱくいこうとか、ロースは脂が少ないから、チョリソーで脂と風味を補って…など。 素材の相性重視でしょうか」。 今回、バラ肉は爽やかさを演出するために、マリナードにヨーグルトやハチミツ、ライム、ケチャップ、グラニュー糖などを使用。 一方、ロースのマリナードは、ピリッと唐辛子の利いたバスク地方のチョリソー、白ワイン、オリーブ油、キャトルエピスなどをミキサーにかけて作った。 2時間ほどマリネしてから、それぞれローストして仕上げている。 「両方とも効果が巧く出てます。 バラ肉は甘酸っぱくてほろほろとして、ロースはピリッとして驚くほどジューシー!」と堀内さん、思わず破顔。 川崎先生は「ヨーグルトの乳酸やライムのクエン酸など酸の種類を変えても、マリネの幅が広がります。 リンゴとかトマト汁でもできますよ」と力説する。 今回の実験の感想として、大垣さんは「食べ比べてみて、マリネの有無の違いに驚きました。 例えばオーストラリア牛ならマリネする、和牛ロースならしないなど、肉質や部位によって選択できるということが再確認できました」と、ますます理解を深めた様子。 堀内さんは「酢〆の前に塩〆をしないと、あんなに味がヒドいとは(笑)。 今までやってきたことが間違いないと知れてよかったです」と語る。 実験を通じて、肉質の変化や風味付けというマリネの効果を確認できた。 またいわゆるマリネの枠組みを超え、寿司の仕事に応用したり、マリナードの素材を自由に組み合わせたり、進化したマリネの姿も見えた。 素材の品質向上により、下処理としてのマリネが必要なくなりつつあるのも事実。 しかしそれもマリネの様々な効果を知った上での表現の一つ、とも言えるだろう。 大垣シェフ最新マリネ 高座豚骨付きロースのマリネ ローストバラ肉のマリネサラダ マンゴー 新ゴボウ 淡白で肉質の軟らかいロースは、マリネすることでチョリソーの脂の風味をまとい、均衡の取れた味わいに。 バラ肉はヨーグルトとハチミツの酸味が、脂の味わいを爽やかなものにしている。 マリナードの風味が足りない要素を補い、皿の完成度を上げた。 ブイヨンで茹でた後、赤ワインビネガーでマリネした新ゴボウと、甘酸っぱいマンゴーを添えて。 ソースはサバイヨンで、香ばしいクルミを散らしている。 『あまから手帖』2010年9月号より転載.

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鶏肉 マリネ

カロリー表示について 1人分の摂取カロリーが300Kcal未満のレシピを「低カロリーレシピ」として表示しています。 数値は、あくまで参考値としてご利用ください。 栄養素の値は自動計算処理の改善により更新されることがあります。 塩分表示について 1人分の塩分量が1. 5g未満のレシピを「塩分控えめレシピ」として表示しています。 数値は、あくまで参考値としてご利用ください。 栄養素の値は自動計算処理の改善により更新されることがあります。 1日の目標塩分量(食塩相当量) 男性: 8. 0g未満 女性: 7. カロリー表示、塩分表示の値についてのお問い合わせは、下のご意見ボックスよりお願いいたします。

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料理理科 08 マリネの効果

鶏肉 マリネ

マリネとは、低pHの液に漬けること ルネッサンス時代から西洋では、マリネは主に菌の繁殖を防いで保存したり、腐敗臭を抑えて食べやすくする下処理であった。 しかし最近では、硬い肉を軟らかくしたり、風味付けしたりするなど、おいしくするための方法として用いられているようだ。 そこで、まずは「マリネとはなんぞや?」という定義をしてみたい。 <新ラルース料理大事典>の「マリネする」の項には、香味を付けた液体に材料を一定の時間浸し、軟らかくして香りを付けることとある。 フランス料理の世界では、この液体をマリナードと呼び、加熱するとマリナード・キュイ、そのまま用いるとマリナード・クリュ。 これにはワインか酢が欠かせないようで、その観点からマリネとは「低pHの液体に一定の時間、素材を漬けること」という定義が見えてくる。 0~14まであり、7が中性で、7より小さければ酸性、大きければアルカリ性となる。 よって、低pHはpH7未満の酸性の状態を指す。 では、低pHの状態に素材を置くことによって、どのような効果が得られるのか。 まず一つめの効果として、農学博士である川崎寛也先生は肉の軟化を挙げる。 「低pHの状態に置かれることで、筋繊維の間に隙間が生じて、水分が入り込む余地ができます。 すなわち、保水性が高まるのです。 またタンパク質分解酵素の働きもより活発になります。 肉の筋繊維内にあるタンパク質がアミノ酸に分解される過程で、筋繊維間の結束が弱まって、軟化が進むのです」。 さらには筋繊維を取り囲む結合組織を構成するコラーゲンは、酸性化することでゼラチン化が促進される。 加熱すると溶けて軟らかくなる性質を持つようになるそうだ。 二つめの効果は、食材に風味が付くこと。 マリナードには赤ワインやハーブ、香味野菜を多用するが、香気成分には水溶性と脂溶性のものがある。 そのうち、水溶性のものは低pHでできた筋線維内の隙間に水分と共に入り込み、脂溶性のものはタンパク質本体に吸着したと考えられると、川崎先生はそのメカニズムを説明する。 では、マリナードの違いにおけるマリネの効果を比較実験してみよう(実験1)。 同じ重量の牛肉を、赤ワイン、煮切った赤ワイン、赤ワインビネガーに30分間漬け込む。 それらとマリネしていない肉、計4種を比較した。 今回実験に参加いただくのは、『ヴレ・ド・ヴレ シェ・ヒロ』の大垣裕康さんと『鮨ろく』の堀内紀久さん。 開始から興味津々の様子だ。 大垣さん「おっ、色の差は出てます。 ビネガーは…変色してる」。 川崎「重さを量ってみましょう。 ビネガーは約2%増加し、赤ワインは約1%減少してますね。 最もpHの低いビネガーが吸水して重くなっている、つまり肉のタンパク質に隙間ができて、保水性が増したのでしょう。 また、濃度計によると赤ワインが最も高濃度。 肉の重量が減っているのは浸透圧によるものと考えられます。 赤ワインの浸透圧が高いので、肉から脱水が起こったのです」。 ここで肉を焼いて味見してみる。 大垣さん「煮切り赤ワインのマリネは馴染みある味。 ビネガーは味がぼやけています。 でも正直、マリネしない方が肉の素材感が生きている気がします(笑)」。 堀内さん「煮切った方が赤ワインの果実味がします! 肉の軟らかさは、微妙な差ですねぇ…」。 大垣さん「アルコールの香りが強いと、肉やワインの風味を感じにくいので、フレンチでは煮切ることが多いんですよ」。 短時間のマリネでも、肉に味は移っていたが、肉質の変化はあまり感じられなかった。 「30分間だとマリネの影響があるのが肉の表面1~2㎜程度だからでしょう」と川崎先生は考察する。 ではマリネする時間を長くすれば、どうか。 大垣さんの得意料理・牛ホホ肉の赤ワイン煮込みで試してみる(実験2)。 一方は、赤ワインや香味野菜を用いたマリナードで5日間マリネ。 もう一方は下処理なし。 それぞれを赤ワインベースのソースで3時間煮込み、1日寝かせてから試食した。 堀内さん「全然違います! マリネした方は、ホロホロッとほぐれやすくなっていますね」。 川崎「マリネすることによってコラーゲンのゼラチン化が促進されていますね。 肉の繊維が1本1本ほぐれているんですよ」。 大垣さん「僕はマリネなしの方が肉が魅力的に感じられます」。 川崎先生「マリネすることによって、素材感が損なわれてしまう、というのはあるでしょうね」。 大垣さん「この肉は大山からフレッシュの状態で取り寄せてます。 肉質や旨みに満足しているから、僕はマリネは必要ないと思ってる。 お店では、そのまま煮込んで提供しています。 でも少し硬い肉なら、マリネも有効ですね」。 実験からマリネで肉質の軟化、効果的な風味付けが可能だと確認できた。 しかし素材の特性を鑑みながら、マリネするかどうかを見極められれば、調理の可能性が広がるともいえそうだ。 【実験2】マリネの有無による煮込みの肉質の相違 5日間マリネした肉は赤紫色に変化。 漬け込んだ後のマリナードはやや濁っており、タンパク質が溶け出たと考えられる。 煮込んだ後の肉の断面を見ると、マリネした方(右)が中まで赤っぽく、筋繊維がほぐれているのが分かる。 【実験1】マリナードの違いによる肉質の変化 肉は黒毛和牛のサシの少ないクリミ(腕肉)を使用。 写真は各マリナードに30分漬けた状態。 色の違いは一目瞭然。 『ヴレ・ド・ヴレ シェ・ヒロ』 大垣裕康さん フランスや大阪の老舗フレンチでの修業を生かし、素材感のある大胆な料理を提供。 「フランス修業時代、鶏を捌いている時に余った部位は、そばにある赤ワインにどんどん放り込んでましたね。 1日2日経って、それがある程度たまったら煮込む。 今思えば、スゴイ大胆なマリネです」。 堀内紀久さん 中華料理で3年経験を積んだ後、寿司の世界へ。 大阪市内の数軒での修業を経て、07年に独立。 寿司の仕事は奥深い、と痛感する毎日だそう。 「食感をより良くし、持ち味の輪郭を際立たせる。 例えば、青背の魚に施す酢〆はマリネに近い仕事ですね。 ヅケはマグロの他、金目鯛でもしますよ」。 肉と魚ではマリネの効果は逆? マリネを低pHの液体に漬け込むことと定義すると、寿司の世界では酢〆がある。 低pHの酢には、菌の繁殖を鎮静化させる効果もあるため、特に足の早い青背の魚の下処理に用いる手法だ。 必ず塩で〆てから酢に浸すが、「その方が身が締まるんですよ」とは堀内さん。 実は、マリネに求める肉質の変化は魚と肉では真逆である。 もともと軟らかい魚の身は、締めるためにマリネするのだ。 ここで、塩〆の有無で身の締まり方にどの程度の差が出るのかを実験してみる(補足実験)。 川崎「酢〆のみの方が、表面が白い。 魚の筋タンパク質が変性していますね」。 大垣さん「うわっ、塩をしていない方は身がどろっと溶けています! 酸っぱさは感じないけど…味がぼけていますね」。 堀内さん「別の魚みたい! 鮮度も塩をした方がいいように思いますし、旨みも濃いですね」。 酢〆の前に塩を纏わせる効果として、筋タンパク質が溶けにくくなることが挙げられる。 低pHではタンパク質分解酵素の働きが活発になるが、できたアミノ酸は溶けず、脱水で身も締まるという効果もある。 身の水分が減りアミノ酸の濃度が増すので、旨みをより感じられるのでは、と川崎先生は複合的に分析して話す。 【補足実験】塩〆と酢〆 明らかに左は白っぽい。 右は塩をしてからイワシは4分半、アジは6分間置き、氷水で洗った後、酢で〆た。 〆た時間はイワシは40秒、アジは2分間。 塩を使わず、酢〆のみのものも同じ時間〆た。 「時間は身の薄さや脂ノリで判断している」と堀内さん。 マグロのヅケに赤ワインの風味!? ヅケだ。 マグロならその目的は、醤油の風味を付ける、ねっとりとした食感を生む、などが挙げられる。 ここで寿司の仕事の固定概念を取り払い、マリネの発想をヅケに用いてみる。 通常の漬け汁は、みりん、酒、濃口醤油を煮切り、マグロ節を加えて漉したもの。 これに赤ワインを用いてみる。 一つは、酒を赤ワインに変えて1/2量に煮詰めたもの。 もう一つは、酒を赤ワインに変え、煮切らず使った。 この3種の漬け汁に、1カン大の切り身にしたマグロを4時間漬け込む。 大垣さん「やはり通常のヅケが旨いです! マグロ節の香りがしっかりします。 煮詰めたのは、身が締まって味が濃い。 ワインの風味が強いのは、煮切らず使ったもの。 コレ、なかなかいけますよ」。 堀内さん「ややアルコールの匂いが気になりますけど、赤ワインの風味がマグロに合いますね」。 川崎「マグロの筋肉に含まれる鉄の成分と、赤ワインの鉄を彷彿とさせる香りが調和するのでしょう。 今回、1/2に煮詰めた漬け汁のものが、より身が締まっていました。 調味料の配合を調整し漬け汁の濃度を変えれば、ヅケの時間短縮の可能性もあります」。 これらのマグロで、堀内さんに寿司を握っていただいた。 「今すぐ新しい握り寿司が生まれるわけではないですが、薬味などでの風味付けや時間短縮の可能性など、マリネを知ることで、ヅケの気づかなかった側面を発見できました」。 【実習】マグロのヅケを赤ワインでアレンジ 通常のヅケの漬け汁は、みりん400ml、酒200ml、濃口醤油500mlを煮切った後、マグロ節をひとつかみ半入れて漉したもの。 マグロ節の風味が際立っている。 色は右が一番赤黒く、味も濃厚。 左は色鮮やかで、赤ワインが赤身に独特の風味を与えていた。 マリネの新表現自由な風味付け 最後に新たなバリエーションとして、豚バラ肉とロースに異なるマリナードを用い、肉質の違いを際立たせた一皿を大垣さんに作っていただいた。 流通の高速化や素材自体が良くなったことで、今やマリネの効果で主となるのは、保存より風味付けと大垣さんは話す。 「マリナードを作る時、ソースや付合せを考える感じで素材を選びます。 バラ肉は脂をさっぱり味わうために甘酸っぱくいこうとか、ロースは脂が少ないから、チョリソーで脂と風味を補って…など。 素材の相性重視でしょうか」。 今回、バラ肉は爽やかさを演出するために、マリナードにヨーグルトやハチミツ、ライム、ケチャップ、グラニュー糖などを使用。 一方、ロースのマリナードは、ピリッと唐辛子の利いたバスク地方のチョリソー、白ワイン、オリーブ油、キャトルエピスなどをミキサーにかけて作った。 2時間ほどマリネしてから、それぞれローストして仕上げている。 「両方とも効果が巧く出てます。 バラ肉は甘酸っぱくてほろほろとして、ロースはピリッとして驚くほどジューシー!」と堀内さん、思わず破顔。 川崎先生は「ヨーグルトの乳酸やライムのクエン酸など酸の種類を変えても、マリネの幅が広がります。 リンゴとかトマト汁でもできますよ」と力説する。 今回の実験の感想として、大垣さんは「食べ比べてみて、マリネの有無の違いに驚きました。 例えばオーストラリア牛ならマリネする、和牛ロースならしないなど、肉質や部位によって選択できるということが再確認できました」と、ますます理解を深めた様子。 堀内さんは「酢〆の前に塩〆をしないと、あんなに味がヒドいとは(笑)。 今までやってきたことが間違いないと知れてよかったです」と語る。 実験を通じて、肉質の変化や風味付けというマリネの効果を確認できた。 またいわゆるマリネの枠組みを超え、寿司の仕事に応用したり、マリナードの素材を自由に組み合わせたり、進化したマリネの姿も見えた。 素材の品質向上により、下処理としてのマリネが必要なくなりつつあるのも事実。 しかしそれもマリネの様々な効果を知った上での表現の一つ、とも言えるだろう。 大垣シェフ最新マリネ 高座豚骨付きロースのマリネ ローストバラ肉のマリネサラダ マンゴー 新ゴボウ 淡白で肉質の軟らかいロースは、マリネすることでチョリソーの脂の風味をまとい、均衡の取れた味わいに。 バラ肉はヨーグルトとハチミツの酸味が、脂の味わいを爽やかなものにしている。 マリナードの風味が足りない要素を補い、皿の完成度を上げた。 ブイヨンで茹でた後、赤ワインビネガーでマリネした新ゴボウと、甘酸っぱいマンゴーを添えて。 ソースはサバイヨンで、香ばしいクルミを散らしている。 『あまから手帖』2010年9月号より転載.

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